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GERD(胃食道逆流症)


 「ガード」とよみます。一般には呼んで字のごとしで胃酸が逆流し食道炎を起こし、胸焼けや胸部不快感を想像しがちです。しかし、症状は多彩でこういう症状以外に胸痛、喘息様発作、湿性咳嗽、嗄性、咽喉頭違和感、喉頭肉芽腫の形成、耳痛、中耳炎などのさまざまな症状を引き起こします。診断は上部消化管内視鏡を行い所見があればそれで確定します。最近ではBarrett食道(食道下端の扁平上皮が胃の円柱上皮に置き換わるいわばGERDのなれの果て)、食道癌との関連も指摘されております。ただ、困ったことに内視鏡的にまったく所見のない人がいます。実はこの方が問題なのです。私の印象だと患者さんの6割以上を占めるのではないかと思われます。こういう人は胃酸がどの程度食道に逆流しているか24時間pHモニタリングをおこなって診断をします。しかし、日本では欧米ほど盛んに検査は行われておりません。検査が煩雑なのと、時間が束縛されることがその理由です。もう少し検査が簡便になり、外来でもできるようになることが望まれます。
おおむね胃酸の食道への逆流時間と食道粘膜の障害の程度は一致していますが、そうでない人もいます。それはその人の胃酸にたいする食道の知覚過敏性によるものではないかと考えられますが、まだまだ病態については分からないところがたくさんあり、これからの研究課題です。
日本消化器学会、日本消化器内視鏡学会では逆流性食道炎、慢性胃炎、胃潰瘍、胃癌、大腸癌の原因としてヘリコバクターピロリ菌が関与しているという話題が多いですが、ピロリ菌除菌後にGERDの出現率が高いというのも事実です。この病態もまだよく分かっていません。
治療は主にPPI (proton pump inhibitor)の内服が基本になります。これは胃酸の分泌を強力に押さえる薬で、GERDの治療指針ガイドライン(LA分類が主体)にしたがって治療を行います。ずっと続けるかどうかはその人の病態、生活習慣によりますが、いまのところこのくすり以外に有効な薬剤はなく症状が軽減してくれば減量あるいは中止します。
上部消化管はストレスに非常に敏感に反応します。老夫婦が朝大喧嘩しただけで、夕方には吐血するといった話はよくききます。したがって日常生活ではできるだけ交感神経を刺激するようなことは避ける。快食、快便、快眠に努めることが非常に大切です。夕食は早めにたべる。夜寝る前に食事をしない。スポーツで汗を流すのも有効です。また、アルコールは程々にはいいですが、タバコはよくありません。たばこを吸う人の胃の粘膜は内視鏡で見ると、皆一様に粘膜が障害されています。
食生活における生活習慣の欧米化、人口の高齢化、さらに、ヘリコバクターピロリ菌の感染率の低下などで今後ますます日本においてGERDの増加が予想されます。病態についてはあまりにも不明な点がおおく研究課題が山積しておりますが、一定の治療指針もでており、症状、検査、治療について御質問のあるかたはお気軽におたずねください。紙面がなくなってきましたのでまた次の機会にお話します。


2004.5.18. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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