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新型コロナウイルス その36 臨床医


 医学は大きく分けて基礎医学と臨床医学に分かれます。臨床医学は また大きく分けて内科系、外科系に分かれます。産婦人科や耳鼻科、整形外科、脳神経外科は外科系に入ります。内科系には実に、総合診療内科、消化器内科(消化管内科・肝・胆・膵内科)、循環器内科、呼吸器内科、内分泌・代謝内科、腎臓内科、血液・腫瘍内科、膠原病・アレルギー内科、心療内科、神経内科、感染症内科、老年内科など、様々な分野があります。救急医学はどちらにも属さず、第1次救急から3次救急まであります。第3次救急は放置すれば数時間以内に生命の危険にさらされる患者を診ます。したがって、科をまたいですべての疾患に精通していなければなりません。現在、それぞれの専門家が、大学病院や総合病院で活躍していますが、このコロナ禍の中、その弊害がでています。コロナ患者を実際ベッドサイドで見ている先生が一番コロナのことに詳しいはずです。ただ、この先生たちが、他の専門家の情報に惑わされています。世界の新型コロナウイルス感染症を疫学数理分析する専門家、これまでの他の感染症との違いを解析する専門家、基礎医学でウイルスの性質だけを見ている専門家、ウイルスの遺伝子解析だけをしている専門家、また、その解析をもとにワクチン開発に命を懸けている専門家(莫大な予算がかけられているからです)などなどです。これまでであれば、風邪で軽症であれば、ドラッグストアで風邪薬を買い、自宅で静養して治していました。クリニックも病院も日中しか開いていません。これはこれで住み分けができています。むやみに抗生物質を使われる心配もありませんし、医療資源の確保もできます。問題はベッドサイドで実際に患者を診ている先生が他の専門家の情報に振り回されていることです。私は、20年近くにわわたって第3次救急医療に携わってきましたが、思いもよらない想像を超えた事態に何度も出会いました。風邪症状が長引いて、よくよく調べてみると急性白血病だったこと、肝臓が腫大して腹水がたまっているため肝硬変と思っていたら、アミロイドーシスだったこと、大腸内視鏡をしていて、腫瘍が見つかり、てっきり大腸がんと思い生検したらアメーバ赤痢だったこと、癌性胸水の病理診断で転院させた患者が5年後に外来に風邪で来院したことなど数え上げたらきりがありません。現在開業して20年になりますが、これらの経験が今非常に参考になっています。上部下部消化管内視鏡も1万例、胸部CT検査も20万スライスを超えました。志村けんさん、岡江久美子さんの死は衝撃的でした。死亡診断書の主病名は「肺炎」です。合併症ア、に「COVID‐19」、その主たる原因イ、に「新型コロナウイルス」と書いているはずです。この「新型コロナウイルス」をメディアが一斉に報道しました。PCR検査は2コピーでもあれば、数億倍にして検出します。PCR検査でウイルス量も測定できますが、検査技師が20サイクル回したか、40サイクル回したかは診療を担当した先生にはわかりません。胃がんと思われる組織を病理医に送って、胃がんの組織が認められれば「胃がん」です。しかし、臨床医はそれでもその病理診断が間違ってないかを疑ってかかる必要があります。PCR検査で検査技師が陽性と報告すれば99%「新型コロナウイルス感染症」に間違いはありませんが、それはあくまで検査の結果です。本当に主たる原因がCOVID‐19かどうか自分の目で病理組織を見、臨床症状に基づいて治療にあたるのが臨床医の仕事です。本当に肺の組織全体に大量の新型コロナウイルスが存在したのでしょうか。患者の生死はベッドサイドの臨床医の腕にかかっています。うるさい外部の専門家ではありません。


2020.9.6. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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