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新型コロナウイルス その48 賞味期限


 ウイルスは、ゲノム核酸としてデオキシリボ核酸(DNA)を持つDNAウイルスと、リボ核酸(RNA)をゲノムとするRNAウイルスに分けられます。ゲノムRNAからDNAを介さずに遺伝情報が発現するタイプのウイルスと、ゲノムRNAをいったん逆転写酵素によってDNAとして、コピーしてから遺伝情報を読み出すタイプのものがあります。後者をとくにレトロウイルスと呼びます。RNAウイルスはさらに、二本鎖RNAウイルスと一本鎖プラス鎖RNAウイルス(+鎖型)、一本鎖マイナス鎖RNAウイルス(‐鎖型)に分類されます。一本鎖プラスRNAウイルスはウイルスゲノムがそのまま翻訳され、ウイルスタンパク質が作られます。ゲノム自体がmRNAとして機能します。一本鎖マイナスRNAウイルスはウイルスに由来するRNAポリメラーゼ(RNAを合成する酵素)により、相補的なRNAが合成されます。-鎖RNAウイルスゲノムはmRNA依存性RNAポリメラーゼによって+鎖に転写して機能します。二本鎖RNAウイルスにはレオウイルス、ロタウイルスなどがあります。一本鎖マイナスRNAウイルスにはインフルエンザウイルス、パラミクソウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、RSウイルス、エボラウイルス、狂犬病ウイルスなどがあります。コロナウイルスは一本鎖RNAウイルスで他に、ポリオウイルス、エンテロウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、A型肝炎ウイルスなどがあります。SARSもMERSもこれに属します。このRNAウイルスの特徴は他のRNAウイルスやDNAウイルスに比べて変異が激しいのが特徴です。武漢で昨年11月から謎の肺炎が多発しました。そのうちの一人のウイルスの遺伝子の情報が「Nature」に発表されたのが、翌1月7日です。1月23日、武漢市が封鎖されました。1月20日に横浜港を出港したクルーズ船、ダイヤモンド・プリンセス号で初めてPCR陽性者が出たのが、2月1日です。この時、国立感染研はすでに新型コロナウイルスに2%のウイルス変異がおこっていると発表しています。ウイルスは遺伝子の複製をする時にエラーを起こします。これをウイルス変異と言います。ウイルスの変異速度は複製の回数が一回当たりどれくらいの割合で変異するかに、ウイルスの複製の回数をかけるとわかります。ウイルスの伝搬速度が速いということは複製時のエラーの回数が多いということを意味します。一般にRNAウイルスの変異速度は0.2から10の5乗 変異/塩基/複製サイクルと考えられます。一日に3回変異すると仮定すると、1年365日ですから、およそ0.2から25×10の−2乗 変異/塩基/年となります。4月7日の非常事態宣言時にはすでに5%の変異が起こっている計算になります。PCRの検出率はせいぜい5%が限界で、その後検出率は急速に落ちてきます。今、およそ10カ月が過ぎ、遺伝子の変異率はおよそ15%〜20%に達していて、限界に近い可能性があります。食べ物に「賞味期限」があるように、PCRにも賞味期限があります。武漢で発生したウイルスはどこか他の地域で存在しているかもしれませんが、今PCRで検出されているものが何のウイルスを検出しているのかは誰にもわかりません。ただ、武漢のウイルスのキメラ遺伝子の300分の1を100万倍に増幅して見つけたと言っているだけです。実際に私が見ているPCR陽性者が、武漢のあの映像のウイルスと同じものを持っているとはとても思えません。食べ物は、賞味期限が袋に書いてありますし、間違って食べても吐き出せばいいですが、PCRはそうはいきません。賞味期限切れのPCR検査をいつまで続けるかは政府次第ですが、そのとばっちりを受けている国民の疲弊をどう考えているのか、政府を後押ししている専門家にも聞いてみたい気がします。


2020.10.3. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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