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アスピリン過敏症(アスピリン喘息・AIA)


.今日はアスピリン過敏症についてお話しします。耳慣れない言葉だと思いますが、アレルギー疾患の増加とともに増えてきている疾患です。最初に報告されたのは1902年ですが、アスピリン喘息についてはGirbertが1911年「JAMA」に記載したのが最初です。症状は喘息が有名ですが、そのほかに蕁麻疹、アレルギー性鼻炎、湿疹、紫斑病、アナフィラキシーなどがあります。アレルギー疾患の10%を占めるといわれていますが、実際の臨床ではもう少し多いような気がします。
 アスピリンなどの下熱鎮痛剤によってリン脂質代謝すなわちアラキドン酸カスケードのプロスタグランディン系がブロックされてシステイニルロイコトリエンの産生が増加するために起こる病態です。他に同様の作用をすると思われるものにタートラジン(食用黄色4号)などの合成着色料、安息香酸ナトリウムなどの防腐剤、ベンジルアルコール、医薬品ではソルコーテフ・サクシゾンなどのコハク酸エステル型副腎皮質ステロイド、香料、香水、化粧品、防虫剤、防カビ剤、強い香料の入った石鹸・シャンプー、自然界のサリチル酸化合物(イチゴ、トマト、キュウリ、柑橘類、ブドウなど)などがあります。
 症状はそれぞれのアレルギー疾患とまったく同じですが、ただ症状が重症難治化しやすいという特徴があります。アナフィラキシーショックなどに移行する場合もありますのでエピペン(0.1%エピネフリン)の携帯が必要になることもあります。また以前アレルギー疾患の既往のあった人に多い(65%)ですが、全くない人もいます。
 治療は考えられる薬剤、食品を摂取しないというのが基本です。症状が出現したら速やかに医療機関に受診することです。またIgEを介さないため減感作療法の対象にはなりません。したがって喘息であれば吸入ステロイド、あるいは抗炎症薬中心の治療、蕁麻疹であれば抗アレルギー剤を投与するということになります。どうしても関節リウマチなどで鎮痛剤が必要ということであれば1週間ほどの期間をかけて薬剤の脱感作を行います。しかし、実際は喘息などのコントロールがよくなるわけではありませんので、症状を起こしにくい選択的COX−2阻害薬などを使うことが多いです。
 診断はアスピリン過敏症そのものがアレルギー機序を通らないためアレルギーに関する検査はほとんど陰性です。したがって既往歴が非常に重要になってきます。約半数の人は問診のみで確定できます。それでも不明な場合は実際に考えられる薬物の舌下、あるいはアスピリンDLリジン(現在発売中止)を吸入するなどの方法をとります。


2005.12.19. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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