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潰瘍性大腸炎サーベイランス


原因不明の難治性慢性腸炎である炎症性疾患(潰瘍性大腸炎とクローン病)は本邦においても増加の一途をたどり、潰瘍性大腸炎で約8万人、クローン病で2万人強が特定疾患として医療受給者証の交付をうけている。
 炎症性腸疾患に対し、厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業のひとつである「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班」により昭和48年以降30有余年にわたり、病因・病態の解明、新治療法の確立、標準的治療法の普及などさまざまな研究が進められてきたが、その病因・病態は不明であり、根本的治療のないのが現状である。
 また、疾患の特徴として、若年層に発症することが多く、ながい病悩期間を有し、その間に合併症を伴うことの多い慢性の炎症性腸炎であり、患者のQOLを著しく損ねている。
 潰瘍性大腸炎の発症後長期経過(10年以上)した症例、特に全大腸炎型では、慢性炎症を背景とした炎症性発癌の合併が問題となっている。通常の発癌に比して、分化度の低い癌や浸潤癌の比率が高く、早期発見が容易でないため、サーベイランスの重要性が指摘されている。
 欧米を中心とした多施設研究報告メタアナリシスによると、潰瘍性大腸炎全症例中の大腸癌合併頻度は3.7%であり全大腸炎型に限ると5.4%と報告されている。累積癌発生率は10年で2.1%、20年で8.5%、30年で17.8%と罹病期間とともに増加している。
 以上のことから米国ではアメリカ癌学会および関連学会から1997年、英国では2002年にサーベイランス内視鏡についてのガイドラインが発表になった。

1.

病変範囲の正確な評価が困難なことを考慮し、発症後8〜10年以上経過した全ての潰瘍性大腸炎症例を対象として最初のサーベイランス内視鏡をおこなう。
2.

全大腸炎型では発症後8年、左側大腸炎型では15年後より、1〜2年ごとにサーベイランス内視鏡を施行する。
3.

10cmごとに4個ずつのステップバイオプシー、および狭窄や隆起性病変から生検をおこなう。

本邦では欧米に比して大腸癌合併潰瘍性大腸炎の報告例が少なかったため、1988年からこれに準じた方法でおこなわれているのが現状である。
 近年、高解像度電子内視鏡の進歩に加え、色素内視鏡や拡大内視鏡検査により質の高い画像診断が可能となっており、サーベイランスにおいても微細な変化を含めた腫瘍性病変の発見精度向上に対する有用性が報告されている。またサーベイランス確立に向けた検討が進められている。


2006.10.30. 

難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班癌化「サーベイランス法の確立」
プロジェクト研究グループ2006年7月 より

 

 

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