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SGLT2阻害薬


 今日は糖尿病の新しい治療薬についてお話ししたいと思います。糖尿病にはインスリンを作る膵臓の機能がまったく働かなくなってしまう1型糖尿病とインスリンを作る力が落ちたり効きにくくなったりする2型糖尿病に分類されています。生活習慣と深く関わりのある糖尿病はこの2型糖尿病です。2型糖尿病になるとまず食習慣をみなおす、運動習慣を身につける、体重を落とすなどの生活習慣について指導を受けます。それでも効果がみられなければ糖尿病治療薬が処方されます。一般にこれらの薬はインスリンの分泌を増やしたり、働きを促進したりして血糖をコントロールする薬です。たとえばビグアナイド薬は肝臓で糖が新しく作られるのを抑制します。チアゾリジン薬は骨格筋や肝臓でインスリンを働きやすくします。インスリンの分泌を促進する薬としてはSU(スルホニル尿素)薬やグリニド薬、DPP−4阻害薬などがあります。いままでの治療は患者の症状や治療効果によりこれらの薬を駆使して行っていました。新しく登場したSGLT2阻害薬はこれらの薬とは全く異なり、インスリンと関係なく働くのが特徴です。血中の糖分は通常不純物と一緒に腎臓でこし取られますが、一部が再吸収されて血液中に戻ります。SGLT2阻害薬はこの再吸収をブロックします。血液中に戻れなくなった糖分は尿と一緒に体外に放出されます。結果的に血糖値が下がります。HbA1cでいうとおよそ1.0%以上の期待ができます。血糖値が下がるので自然と脂肪も減り体重も減少します。1か月に3kgから4kg痩せた人もいます。これが副作用といえば副作用で体重がおちてくると筋肉まで分解されてしまいます。筋肉が減るとインスリンが効きにくくなります。高齢者では筋力低下を引き起こし生活に支障がでることがあります。また、もともと痩せた人や1型糖尿病患者には使えません。尿がふえ脱水症状や脳梗塞などのリスクもあります。尿中の糖分がふえるので尿路感染症や性器感染症などにかかりやすいといった心配もあります。したがって使う患者は比較的若年で体力があり、肥満傾向の人に限られます。糖尿病の比較的早期に使用するのが効果的です。本邦では糖尿病患者は予備軍を含めると1200万人に上ろうとしています。できるだけ早期に発見し対処する必要があるのですが、実際に指導もしくは治療を受けている人は1/4しかいません。現在透析患者の半数以上は糖尿病です。失明の原因である糖尿病性網膜症も引き起こします。治療方法は格段に進歩してきています。できるだけ早めの対処をお勧めします。ところで、外来で「糖尿病治療を始めると一生続けなければならないのか」とよく聞かれます。私は「早く始めないと一生続けることになる」と答えています。HbA1cが13.0%の患者が早期にBOT療法(飲み薬+インスリン療法)を始めて糖の毒性をとることによって、6か月ほどで緩解、数年来検診で異常のない人も見ています。SGLT2阻害薬は将来的に心血管系の合併症や腎機能低下の進行を遅らせるといったデータもでています。治療の幅はますます広がっています。


2016.9.18. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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