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標準治療


 今日のお話しは、どうしてもしておかなければならない標準治療についてです。昨年、乳癌で亡くなった若い女性キャスターの話が話題になりました。最初担当医は乳癌を疑いました。しかし、その後病院を転々とし、確定診断まで2年、また標準治療に至るまでさらに数か月を要しました。標準治療というと、どこででもできる平均的な治療法で、もっといい治療法があるのではないかと考えがちです。しかし、標準治療は基礎研究、臨床研究、第3相試験(実際に患者さんにお薬を投与して効果を判定する試験)を経て、その時点で最高の効果が得られる治療法のことをいいます。今、チェックポイント癌免疫療法は標準治療になりました。iPS細胞やES細胞を使った治療法は現在盛んに研究がおこなわれています。癌や膠原病、神経疾患、心筋炎などに罹患している患者さんは、わらをもすがる思いでその結果を待ち続けています。これらの研究が第3相試験を経て効果が確立されれば、その時点ではじめて、その治療法は標準治療になります。
 癌や難病に関して、インターネットを引けば必ず延々とその治療法が脈絡もなくでてきます。そのうち患者さんにとって有害と考えられるサイトが39%にも上るというデータも発表されました。先ほどでてきた女性キャスターは主治医のもとを離れて、2年半もの間、家族とともに診断もそうですが、標準治療以外のもっといい治療法がないか探し続けました。その間に癌は全身に転移したと思われます。おそらく最初の担当医は残念で仕方なかったと思います。助かる命だったのです。
 私は呼吸器・アレルギーが専門ですが、癌の診断・治療と同じように、現時点で最高の治療効果が期待できる診断と治療法がガイドラインに示してあります。これにのっとって治療すれば、必ず症状は改善します。ネットで調べて、いろいろな病院を訪ね歩き、テレビにでている有名な医師にも診てもらったがいっこうに良くならないという患者さんが後を絶ちません。医療とは、いわばオーダーメイドで目の前の患者さんを診てはじめて診断・治療ができるわけで、万人に有効な治療法などあるはずはありません。
 昨年アレルギー免疫療法に関する本を出版しました。自分の本がどのくらい読まれているのかも気になったので本屋さんに行ってみました。その時初めて一般にアレルギーに関してどんな本が読まれているのかがわかりました。インターネットでも見てみました。そうすると、乳酸菌でアレルギーが治る。全身のツボでアレルギーが治る。食事を変えるだけでアレルギーが治る。砂糖をやめればアレルギーが治る。入浴をやめるとアレルギーが治る。1分間でアレルギーが治る、などなど、読み切れないほどの情報が延々と出てきます。アレルギー疾患ガイドラインにはそんなことは何も書いていません。アトピービジネス(アレルギーに関するウソの情報を提供してお金もうけをする)が、1年1000億円にも上るのもうなずけます。全国のアレルギー科医が稼ぐ収入をはるかに超えています。
 みなさんがかかっている主治医はその疾患に対して、現在ある一番いい治療法を常に考えています。日本には世界に誇れる皆保険制度があって、だれでも、どこでもこの最高の標準治療が受けられます。その先生がしていない治療は保険で認められていない治療法でアトピービジネスと言っていい治療法と思います。これは全ての疾患に当てはまります。くれぐれも偽の医療情報に惑わされないようにお願いします。


2018.5.21. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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