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「マグロ」


 

 今年の夏は暑い上に台風が多く課外活動はなかなかできなかった。海にも久しく行かなかったが、1日だけ穏やかな日があった。しかしクルージングするには風がなさすぎる。仕方がないのでぼんやり竿を出していた。いきなり糸がリールからうねりを上げて出て行った。やっとの思いで釣り上げると60cm近い丸太棒の様な本マグロであった。遠の昔に忘れていた感覚がよみがえってきた。それからというもの少々波が高くても、台風が近づいて強風が吹いても出かけて行った。しかし、サバやカツオはつれてもマグロは釣れない。いろいろ仕掛けを変え、竿を変えてもみるが一向に釣れる気配がない。いっそのことマグロなんか釣っていなければと後悔したりしている自分がいる。今、海上は日中でも10℃を切る。こんな寒い中を誰もいない海に出かけて行かなくてもいいのにと思うと滑稽でさえある。マグロ漁師にならなくてよかったなーとかってに思いを馳せる。ところで釣りの効用もある。患者さんの中にも釣りが大好きな人がいる。お互い気持ちがよくわかり、なかなか話が尽きない。後ろで待っている患者さんたちはいい迷惑である。わたしも一区切りおいて話を切りあげようとするが、踏ん切りがつかない。なかなか厄介な時間帯である。太古の昔から海は生きとし生けるものすべてを許し飲み込んできた。私もその患者さんたちも例外ではない。それまでの束の間の時間を共有できることに今喜びを感じている。


2016.1.4 練馬区 櫻田 二友
東京保険医新聞 2016年1月 新年特集号から

 

 

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