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脱炭素狂騒曲 その10 灯台下暗し


 「地球12万年ぶり暑さ」、「7月平均気温、温暖化に警鐘」、「米1.5億人に高温警報」、「最も暑かった7月」、「120年間分析 45年ぶり更新」、今年の夏、新聞の一面を飾った記事です。地球史を通じて、温暖化と寒冷化は繰り返し生じてきました。その実態は地層に記録されています。南極点に近い南緯78.5度、標高3488mのボストーク基地(ロシア)で、1988年に大規模ボーリングが行われました。深さ3620mまで氷床を堀り、42万年分に及ぶ氷の長い柱(氷床コア)が採取されました。現在は、地質学的に新生代の「第四期」と呼ばれる時代で、氷河時代に分類されます。現代の地球は、温暖期だと思っている人もいるかもしれませんが、地球史においては、むしろ寒冷な時代に分類されます。ただし、現在は氷河時代における温暖モードである「間氷期」に相当します。もう一方の寒冷モードは「氷期」と呼ばれています。つまり、氷河時代の中で、氷河の発達した寒冷な時期と、相対的に氷河が縮小した温暖な間氷期が、繰り返されている訳です。氷床コアで氷期と間氷期が10万年の周期で繰り返しているのがわかりました。それは海底堆積物に含まれている「有孔虫」という生物の殻の酸素原子の同位体分析結果から明らかになりました。この理由は次稿に譲るとして、グラフからは、4回あった氷河期には気温もCO2濃度も低く、間氷期には気温もCO2濃度も高いことがわかります。気温とCO2濃度は、42万年ずっと歩調を合わせてアップダウンを続けてきました。それを見たアル・ゴアは「CO2増加→気温上昇の因果関係を語る動かぬ証拠」として2006年、映画「不都合な真実」を制作しました。しかし、その後の研究で「気温上昇(自然変動)→CO2増加」が判明します。さらに、間氷期の初期(41万年前、23万年前、13万年前)は、CO2濃度が270〜300ppmだったのに、気温は現在より2〜3度高かった。今のCO2濃度は420ppmですから、CO2が地球を暖めるなら、気温は過去の間氷期よりも高いはずです。しかし、実際はそうではありません。それより前の古生代(約6億年前)のCO2濃度は4000ppmで氷河期でした。1000年前の中世温暖期は今の気温と同程度ですが、CO2濃度は280ppmです。6000年前のCO2濃度は同じ280ppmですが、気温は今より2度高温でした。2000年以降、CO2濃度は約1割=36ppm上昇していますが、衛星観測による気温の上昇は横ばいのままで、変わっていません。要するに地球の気温は自然変動し、CO2濃度とは相関関係がありません。CO2濃度が近年若干上昇した理由は簡単です。サウジアラビアが「ザ・ライン」の建築に取り掛かりました。ドイツは原発を完全停止し、再生可能エネルギーを52%にまで上げました。中国は8割が化石資源ですが、世界の太陽光パネルのほぼ90%(約1TW=10億キロワット)を生産しています。小池都知事は東京の新築の家すべてに太陽光パネルを設置する法案を可決しました。ドーバー海峡には風力発電所がまるで電柱のように連なっています。世界の自動車業界も右にならえと電気自動車にシフトしています。1台の電気自動車を作るのにはガソリン車4台分の化石燃料が必要です。太陽光パネルも風力発電も同じです。アマゾンの森林破壊が問題になっていますが、地球を衛星から見ると、大地の緑はこの20年で5%増えています。サハラ砂漠の南3860kmにわたるサヘル地域は緑化しています。沈みゆく島国・ツバルの面積は1971年から2014年までに2.9%拡大しています。これらは気候温暖化ではなくて、脱炭素政策でCO2が増えたためです。「灯台下暗し」です。

 


2023.9.10. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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