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脱炭素狂騒曲 その12 スノーボールアース


 現在は、地質学的に新生代の「第四期」と呼ばれる時代で、氷河時代に分類されます。そのなかの温暖モードである「間氷期」に相当します。もう一方の寒冷モードは「氷期」とよばれています。つまり、氷河時代の中で、氷河の発達した寒冷な氷期と、相対的に氷河が縮小した温暖な間氷期が、約10万年の期間で繰り返すことがわかっています。それが、何故なのかもわかっています。このサイクルは地球の軌道要素の天体力学的な変動によって生じていると考えられています。地球は太陽の周期を公転していますが、完全な円軌道ではなく、わずかに歪んだ楕円軌道を描いています。その歪み方は、仮に地球が太陽系で唯一の惑星ならば不変です。ところが、実際には木星などの重力の影響を受けるため、若干のズレが生じます。その離心率は0〜0.07の間で、約10万年の周期で変化しています。ちなみに、現在の値は0.0167です。楕円軌道では、太陽と地球の距離が季節とともに変化するので、離心率が大きいほど、地球が受け取る太陽放射の季節変化が大きくなります。また、軌道面の垂線に対する自転軸の傾きは、現在のところ約23.45度です。これも周期的に変動することが知られており、約4万年の周期で22.1〜24.5度の間を動いています。自転軸の動きが大きくなると、その分だけ日射量の季節変化が大きくなります。つまり、夏はより暑く、冬はより寒くなるということです。各緯度帯の年間を通じた日射量や、その季節的な変化の仕方も変わることになります。さらに、地球の自転軸の方向は、円を描くように変化します。これはコマを回した時に、その回転軸が首振り運動するのと同じ現象で、「歳差運動」といいます。歳差運動の周期は、1万9000年、2万2000年、2万4000年の3つがあります。この運動のために、季節のタイミングが少しずつ変わってきます。例えば、自転軸の方向が逆になれば、それまで夏だった時期が冬になります。これらの組み合わせによって、地球が受け取る日射量の緯度分布や季節変化が影響を受けます。例えば、太陽に最も近づくタイミングが北半球の夏になれば、北半球は「暑い夏」と「寒い冬」という組み合わせになり、季節コントラストが大きくなります。逆に、太陽から最も離れるタイミングが北半球の夏になれば、北半球は「涼しい夏」と「暖かい冬」という組み合わせになります。これを「ミランコビッチ・サイクル」といいます。ところで、時間とともに変化する量の周期性を調べる方法に、「周期解析」あるいは「スペクトル解析」というものがあります。これを使って、軌道要素の変化に起因する北半球高緯度(北緯65度)の日射量変化の周期性変化を調べてみると、約2万年、約4万年、約10万年などの明瞭な周期があることがわかります。実は、これらの変化の周期は、氷期と間氷期のサイクルが示す特徴的な周期とすべて一致します。つまり、氷期と間氷期の気候変動には、約10万年の周期だけでなく、約4万年と約2万年の特徴的な周期性もあるということです。したがって、軌道要素の変動に起因した日射量変動が、氷期と間氷期のサイクルの原因であることは、おそらく間違いないと考えられます。これによると、地球は現在「間氷期」から「氷期」に転換しているところです。地球は、誕生以来、約23億年前、約7億年前、約6憶年前、少なくとも「全球凍結イベント」(スノーボールアース)
を3回繰り返しています。二酸化炭素CO2やメタンCH4などの温室効果ガスがなくなってしまえば、4回目の全球凍結イベントになる可能性があります。これは完全にゼロではなくて、現在の1/10程度(数十ppm)にまでさがっても起こりえます。「脱炭素政策」は地球滅亡へのシナリオです。

 


2023.9.13. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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