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脱炭素狂騒曲 その18 ヒートアイランド現象


 森林は二酸化炭素CO2を吸収するから木を植えよう、という主張をする人がいます。植物は光合成をする時に、二酸化炭素CO2を吸収するからです。しかし、これは樹木がやがて枯れて微生物に分解され、二酸化炭素CO2を放出するという過程が無視されています。ある一定の森林面積を対象にするなら、生まれる樹木も枯れる樹木もほぼ等しいので、森林全体から見れば、二酸化炭素CO2を吸収しないことになります。二酸化炭素CO2を吸収するのは、成長過程にある若い樹木だけで、新しく木を植えても、長期的な地球温暖化の対策にはなりません。また、樹木は光合成をする時に太陽光を吸収するので、場所によっては逆に温暖化を引き起こします。どちらかといえば、色の暗い葉の方が、砂でざらざらした砂漠や雪に覆われた場所よりも、太陽光を多く吸収します。そもそも、気温の測定自体が間違っているのではないかという指摘があります。東京の気温は、気象庁の構内に置かれたた「百葉箱」のみで測定していました。地面から1.2〜1.5mの高さで、直射日光や照り返しを受けない風通しの良い芝生の上、扉も直射日光が差し込まないように北向きで設置されています。古い写真を見ると明治時代は周りに何もないスカスカの景観です。やがて周囲にビルが続々と立ち並び、車の往来も激しくなっていきます。コンクリート・アスファルトでたくさんの高速道路もできました。そばで増える消費電力と車の排熱で気温は徐々に上昇しています。芝生は蒸発や蒸散を通して、熱を吸収しますが、コンクリートやアスファルトではこの働きが失われます。すると地球の気候変動とは全く無関係に気温は高くなります。これは「ヒートアイランド現象」と呼ばれる現象で、東京の気温は、観測開始1876年(明治9年)から2020年まで、3.5℃ほど上昇しています。温暖化が叫ばれ始めてから、気象庁は2014年12月に気温の観測点を、構内から1km足らず先の北の丸公園にある林の中に移設しました。ほぼ、1年後の気象庁の発表によると、移設に伴って平均気温が約1.4℃も低下しています。1.4℃は、IPCC報告書の気温グラフでいうと、過去170年間の上昇幅より大きな値です。新聞の一面を飾る、「観測史上最大の暑さ、地球12万年ぶり暑さ」などの記事は、ただの脅しです。「気候変動・脱炭素のウソ」(渡辺 正著)から引用します。東京山手線が囲む都心の面積は、約65km2です。5割ほど外側へ広げた100km2を考えます。昼間の12時間(6時〜18時)に注目した場合、東京都が公表しているデータから、100km2域の消費電力がわかります。また東京都が保有する車両(約320万台)のごく一部にあたる15万台が平均時速30kmで常時走行し、燃費が10km/Lとします。次に底面積が100km2、高さが500mの大空間(体積50km3)を想像します。空気の熱容量(比熱;温度を1℃上げるエネルギー)はわかっています。電力と車の排熱による発生エネルギ―は、いま考えている空間が含む空気の温度を10℃上げるパワーがあることがわかります。ほぼ半分(5℃)を電力が暖め、あと半分(5℃)は車の排熱が暖めます。もちろんその10℃は「発生エネルギー(熱)が一瞬で大空間の隅々に伝わる」という、現実にはあり得ない状況を考えた計算の結果です。熱はゆっくり伝わるし、普通は風があるため、エリア外にも散らばっていきます。また屋外で出た熱が外気にたちまち伝わるはずもありません。しかし、電力消費も、車の排熱もない「江戸時代までの東京エリア」に比べ、空気は2〜3℃ぐらいは十分暖まってきたでしょう。大都市の夏の暑さは、気候変動もCO2も全く関係のない、ただの「ヒートアイランド現象」です。

 


2023.9.24. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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