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脱炭素狂騒曲 その36 仏の顔も三度まで


 日本は、地震や火山活動が活発な環太平洋変動帯に位置しています。世界の面積のわずか0.25%しかない土地の面積に対して、全世界の地震の18.5%が日本で起こっています。巨大地震が発生するたびに、地震学者や気象学者がその理由を説明しますが、納得のいく説明を聞いたことがありません。20年ほど前に若い地震学者が患者として当院に受診しました。浅間山や阿蘇、御嶽山など各地を調査している新進気鋭の学者です。東京に直下型地震が今後30年以内に70%の確率で起こると報道されていますが、本当ですか?と私が訪ねました。すると、その若い学者は、先生それは間違いです。20年以内に100%の確率で起こります、という答えでした。それから20年程たっていますが、東京に地震は起きていません。地震大国ですから、過去の統計をいじれば、何らかの相関関係が認められるでしょう。最近の説明は地球温暖化による異常気象の多発です。巨大地震が冬に多いのは、地震が起きやすいプレート境界を押さえつけている海面からの力が、冬は海面が下がるため弱くなり、角度の緩いプレート境界断層の摩擦が小さくなることが原因の一つと考えられると説明しています。過去に起きた東日本大震災も阪神淡路大震災も確かに冬でしたが、ちょうど100年前の関東大震災は9月、新潟中越地震は10月、北海道胆振頭部地震は9月でした。過去の地震歴から未来の地震を予想するのは困難なことがよくわかります。国土交通省による地球環境・自然災害に関する予測、第2節では「地球温暖化」、「巨大地震のリスク」について記載があります。国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書では気候システムの温暖化には疑う余地がないという評価です。同報告書では、地球温暖化を引き起こす原因として、大気中の温室効果ガス濃度の変化を4つのシナリオで仮定し、将来の異常気象を予測しています。この一つが巨大地震のリスクです。2014年3月に内閣府中央防災会議で、「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」が作成されました。マグニチュード8〜9クラスの地震が今後30年以内に70〜80%の確率で発生すると公表されました。南海トラフでは過去1,400年間に約90〜150年の間隔で大地震が発生していることから、次の地震までの間隔を88.2年と予想しています。「南海トラフ」という言葉も、実は2011年3月の東日本大震災後に突然でてきたことばで、それまで耳にしたことはありませんでした。能登半島地震も数年前から地殻変動が観測されていて、いずれ大地震が来ると予想されていましたが、これほどの巨大地震が起こることを予想した地震学者はいませんでした。もしも、予想されていたら、と考えても、1月1日ではどうしようもありません。年に1度の里帰りですから、防ぎようがありません。私はスキーをしていて、ちょうどロープーウェイを降りたところで、無事でした。その後、揺れでロープーウェイは止まりましたが、数分後に再開し、翌日のスキー場のリフトは点検後、徐々に再開していきました。日本は海に囲まれていて、折々の四季があり、美しい山並みや海岸線があり、ここに住む人々は大変幸せです。外国から攻めづらい場所でもあります。日本海溝の最深部は伊豆・小笠原海溝でおよそ9800m、マリアナ海溝は世界で最も深く、約10,920mあります。その頂上で1億2000万人以上が住んでいるわけですから、自然のなせる奇跡です。日本列島付近では太平洋プレート、フィリピン海プレート、ユーラシアプレート、北米プレートの4枚のプレートが相接しています。そのため有感地震(震度1以上)は年に約2000回です。ヒトは生まれる場所を選ぶことはできません。また死ぬ場所も選べません。自然に従うしかありません。地震学者や気象学者は勇気をもって、予知は不能というべきで、「仏の顔も三度まで」です。

 


2024.1.12. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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