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脱炭素狂騒曲 その38 砂上の楼閣


 再生可能エネルギーとは石油や石炭、天然ガスなどの化石エネルギーとは違い、太陽光や風力、地熱といった地球資源の一部など自然界に常に存在するエネルギーのことです。メリットとしては1、エネルギーが涸渇しない 2、温室効果ガスの排出量が少ない 3、エネルギーの供給場所を問わず、各地どこにでもすぐに調達できる 4、これまで化石資源で発生していた有害物質(焼却灰)、廃棄物(放射性廃棄物など)が発生しない 5、従来の発電所とは違い、施設設計が簡単、などがあげられます。しかし、これらのメリットは出来上がった施設を使う時のメリットで、再生可能エネルギーを作るにも、撤去するにも膨大な化石資源が必要になることには触れられていません。化石資源が枯渇すれば、当然再生可能エネルギーは作れなくなります。かつて、1970年代、石油があと30年で涸渇するといわれて大騒ぎになりましたが、この報道はウソでした。化石資源は生物の死骸が炭素(C)に変わったもので、地球が存在する限り、なくなることはありません。したがって、再生可能エネルギーを作れば作るほど、化石資源が多く必要になり、メリットはまったくありません。しかし、国連を始め、各国政府、産業界は間違った方向に舵を切ってしまいました。もう、後戻りはできそうにありません。もしできるとすれば、電気・ガス・水道・ガソリンなどの値段が高騰して家計を圧迫し、国民がそれに気が付いた時かもしれません。再生可能エネルギーのもう一つの問題は出力制御です。電気は、電気を使う量と発電する量(需要と供給)のバランスをとる必要があります。バランスが崩れ周波数に乱れが生じると、最悪の場合は大規模停電が発生します。そのため需給バランスの維持のため、出力制御をする必要があります。出力制御には順番があって、電源の特性に合わせて決められています。順番に1、火力の制御、揚水の活用(余った電気を利用した水のくみあげ) 2、他の地域への送電 3、バイオマスの制御 4、太陽光・風力の制御 5、水力・原子力・地熱の制御となっています。太陽光と風力による発電を一時的に止める出力制御が2023年に急増し、1年間に制御された電力量が全国で計約19.2億キロワット時に達したことがわかりました。約45万世帯分の年間消費電力量に相当し、ちょうど能登半島地震で被災した世帯分と同じです。難しいシステムを構築しても、いざ動かしてみると、いかに無駄が多いかわかります。火力発電は簡単に出力を上げ下げできるため、そんな心配はまったくいりません。昨年冬、関越道で2000台の自動車が大雪で立ち往生しました。電気自動車に送電する方法はありません。スマホと同じで使わなくてもバッテリーは消耗します。その点、ガソリン車はガソリンを入れれば発電できますから、1晩ぐらいの寒さはしのげます。出力制御は、太陽光の導入が早かった九州で18年秋に始まり、22年春以降に東京電力管内を除く全国に広がりました。大手電力が23年末までの受給実績を公表したのを受けて、送電網が別の沖縄と未実施の東京を除く8社の太陽光と風力の制御量を集計しました。23年1〜12月の制御量は過去最多だった21年の約3.3倍、22年の約6.5倍でした。全体の7割を九州が占めました。出力制御は冷暖房を使わなくなる春秋に起きやすく、九州で太陽光・風力の発電が止められた割合(制御率)は、4月が25.3%、年間で8.9%に達しました。節電などで電力需要が減る中、太陽光が着実に増え、原発も稼働していることが背景にあります。経済産業省は、出力制御が複数エリアで起き、余った電力を他地域に送る量が減ったことが一因と考えています。政府は脱炭素に向けて再エネの比率を30年に36〜38%に引き上げようとしています。このままでは再エネの事業計画が見通せず、新規の投資がなくなります。再エネ計画はすでに「砂上の楼閣」です。

 


2024.3.12. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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