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脱炭素狂騒曲 その49 黄砂


 30年近くスキーに通っていますが、3〜5月、関越道で東京に帰る時、空全体が黄色っぽく霞んで見えることがあります。ひどい時には視界が遮られることさえあります。黄砂は新疆ウイグル自治区のタクラマカン砂漠、内モンゴルのゴビ砂漠、その南の黄土高原などから、春の雪解けとともに、土地が乾燥し、砂嵐になって巻き上げられ偏西風に乗って日本に飛来します。クルマや洗濯物が汚れる、雨と一緒に「泥雨」になることもあります。目・喉・咳・喘息の悪化、花粉症の時期と重なりますので、花粉症の人は症状が悪化します。大きさは4μ(1μは100万分の1m)ほどです。肺胞の大きさが2μmなので、末梢気管支近くまで到達します。よくPM2.5と一緒に考えられがちですが、PM2.5は大気汚染物質なので、まったく性質が違うものです。対策としてはマスクをする、外出を控える、洗濯物の室内干し、帰宅後のうがい、洗顔などです。このように黄砂の被害ばかりが注目されがちですが、自然現象としてプラスの面も多々あります。土壌は雨・温度変化・風などによる岩石の風化、そこに微生物や植物が定着、枯葉・遺骸が分解されて腐植になります。この過程を数百万〜数万年かけて形成されます。黄砂は微細な鉱物粒子(石英・粘土鉱物・鉄など)からできており、弱アルカリ性です。降下すると、土壌に混ざり、ミネラルの補給、土壌を若返らせ、肥沃化させます。この土壌が、植物の生育(栄養・水分の補給),水を貯え、洪水を緩和します。また微生物の住処(生態系の基盤)になります。黄砂は人類誕生以前、数百万年前から続く、自然現象で、偏西風に乗って、日本だけでなく北太平洋から北米、時にはグリーンランドまで飛散します。日本では1年に約0.1mm、1億年で1万m堆積します。したがって、日本列島は黄砂と火山灰でできていると言っても過言ではありません。土地は酸性に傾くため、もし黄砂がなかったら、食物は育ちません。時々酸性雨が問題になりますが、黄砂で中和されます。ヒトの血液も弱アルカリ性で、血液のpHは7.42です。また海に落ちると海洋プランクトン(植物プランクトン)の増殖を促進します。間接的には二酸化炭素(CO2)の吸収促進に働きます。こうして、黄砂は地球環境の安定に大事な役割をはたしています。菊池病は10〜30歳代に多い、発熱と頚部リンパ節腫脹を伴う、免疫の過剰反応による病気です。感染によるものではありません。黄砂は細菌・真菌成分、エンドトキシン(LPS)、PM2.5、重金属、花粉・化学物質などを集合的に運ぶ粒子です。これらは自然免疫(マクロファージ・樹状細胞など)を強く刺激します。菊池病の発症は春から初夏に多く、黄砂飛来は3〜5月です。EBウイルス、HHV‐6、パルボウイルスなどが疑われてきましたが、証明はできませんでした。黄砂のような「非特異的免疫攪乱因子」が病態モデルに合います。仮説モデルとしては、1.黄砂流入 2.呼吸粘膜で免疫細胞が活性化 3.炎症性サイトカイン(IFN‐γなど)の上昇 4.頚部リンパ節で、CD8陽性T細胞過剰活性、アポトーシス増加 5.壊死性リンパ節炎発症 このモデルで菊池病の病理像と矛盾するところはありません。ただ、黄砂暴露歴を系統的に調べた大規模研究がない、黄砂がなくても発症する、黄砂が多い地域=必ず多発、ではありません。したがって、「原因」ではなく、今のところ「原因・増悪因子候補」ということができます。特に、再発例(免疫が強く持続しやすい)、アレルギー体質、自己免疫疾患をかかえているひとは、影響を受けやすい可能性があります。「日本・東アジアに菊池病が多い」というのも、うなずけます。

 


2026.1.13. 氷川台内科クリニック 院長 櫻田 二友

 

 

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